デジタルネイティブ世代
Z世代(ジェネレーションZ)という言葉をご存知でしょうか。アメリカ合衆国での世代区分のひとつで、生まれた時からインターネットが存在していた「デジタルネイティブ」な最初の世代です。
Z世代の前には、X世代やY世代もあります。それぞれの生まれ年と特徴についてWikipediaから抜粋します。
世代 | 生まれた年 | 特徴(Wikipediaから抜粋) |
---|---|---|
X |
1965 - 1980 |
生まれた時期はテレビの爆発的な普及が始まった時期でありベトナム戦争、キューバ危機やヒッピー運動の時期に1桁台を過ごした。そして、ヒッピー運動の衰退とベトナム戦争の終結による「しらけムード」の中で10代を過ごした。 個人主義と内向性を特徴としており、政治や社会に対して冷めている傾向が強い。 |
Y |
1981 - 1995 |
日常生活のデジタル化の初期段階からIT革命を体験した世代であり、アナログ的な手段に理解を示しながらもデジタルデバイスを好む傾向にある。 思春期を迎えるティーンエイジャーの頃にインターネットの爆発的普及を経験し、同時にキャッチアップも進めて来た。このため、インターネットを駆使して活躍する者が多いといわれている。 幼少期からテレビゲームやCDを始めとしたデジタル化された生活に慣れ親しみ(デジタルネイティブ)、成長期から青年期に携帯電話やパソコン、インターネットに触れ始め、それらの進化と共に成長したため、以前の世代とは価値観やライフスタイルなどに隔たりがあるとされる。 |
Z |
1996 - 2010 |
幼少期から“デジタルデバイス(機器)やインターネットの存在を前提とした生活”をしているデジタルネイティブ(ネットネイティブ)世代である。 生まれた時にはインターネットが普及しており、主にブログやSNSから本格的なインターネット利用を始めた世代である。その直後にはスマートフォンが登場し、スマートフォンに最適化された生活を享受してきた。 検索エンジンで世界中の情報を瞬時に検索し、SNSで他者と繋がることを前提として生活しているため、インスタントな物を好む傾向にあるが、古典的なアナログ中心の生活に対して新鮮味を覚える事も多い。 インターネットを日常生活に大胆な形(特にTwitter、Instagram、TikTokなど)で取り入れ、自分ならではの新しい体験を追い求める傾向にある。 ジェネレーションZにとっては原風景にインターネットが溶け込んでおり、最早インターネットの無い世界を想像することが難しい程である。 |
※2011年生まれ以降の世代を「α世代」と表現する事もあるようで、Wikipediaでは「ネットですら現実の一部として認識している」と書かれています。まさにマトリックスとかアバターの世界ですね。
なお、「デジタル」という観点では、日本はアメリカから5年程度遅れがあると言われていますので、日本では大体以下のような区分になります。
・1985年~2000年生まれ:Y世代(最初のデジタルネイティブ世代)
・2001年~2015年生まれ:Z世代(ネットで繋がっている事が前提の世代)
上記の表を見ると一目瞭然なのですが、X世代の世代の説明には「デジタル」という言葉が出てきません。X世代以前の人間にとっては、パソコンやインターネットは大人になってから普及したもので、「デジタル」は人格形成後に習得した技術、という事になります。
悲しいかな、実は私も1974年生まれのX世代です。思い返せば、大学生でも携帯電話なんて持ってなくて、確かにアナログな時代だったと思います。例えば友達と旅行に行くシーンを振り返ってみても…
・情報は、先輩の話と、旅行代理店のパンフレットと、本屋で買った本
・電車の乗り継ぎは紙の時刻表で念入りに電車の乗り継ぎを調べる
・待ち合わせはしっかり時間と場所を決める(来ない場合の行動も決めておく)
・写真はフィルムで現像するまでどんな写真か分からない
・現像した写真をアルバムに入れて、何枚焼き増しするか書いてもらういや~、少し思い返してみても本当にアナログですね。とても25年前の事とは思えません(笑)。ある意味平和だなぁとも思います。
アナログな世界では、「知っている事」自体が非常に価値のある事でした。
例えば、地元からディズニーランドに行く計画を立てるにも、「東京駅から何線の電車に乗れば良いのか」を知っている事や、「明日の天気予報」を知っているだけで価値がありました。
そんなアナログな時代に人格を形成したX世代と、デジタルネイティブであるY世代、Z世代とでは、デジタルに対する考え方や価値観が異なっている事は当然です。そしてDXに取り組むためには、デジタルネイティブ世代の感覚や意見を取り入れなければならない事は必然です。しかし、残念ながら日本の多くの企業(特に大企業)では、X世代以前の世代が決定権を持っており、組織構造も階層型のトップダウン構造となっています。
少し悔しいですが、私たちX世代(もちろんそれ以前の世代も)には、「デジタルという観点では自分はネイティブではない」と意識し、デジタルネイティブ世代が自律的に動けるように環境を整備してあげる、というくらいの謙虚さが必要なのだと思います。